実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 風邪や花粉症で差別される人たち

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
  • 文字
  • 印刷
せきや発熱の症状で診察を受ける子ども=東京都港区で
せきや発熱の症状で診察を受ける子ども=東京都港区で

 「到着した電車が混んでいたら何本でも見送っています。駅のトイレで並んでいるときに、せきが出そうになれば列を離れなければなりません……」。太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)をかかりつけ医にしている40代の女性が、最近、こう嘆きました。この女性は花粉症があり、毎年この季節にはくしゃみとせきに悩まされています。内服薬と吸入薬でコントロールできているのですが、人が多いところでは他人の香水や、ほこりなどでせきが誘発されることがあります。「電車の中や人が多いところでせきをしてしまうことが恐怖なんです」と女性は言います。

 過去のコラム「新型コロナウイルス 広がるいわれなき差別」で述べたように、新型コロナに関連する差別がますます広がっています。そのコラムで述べたように、医療機関で診察拒否される事例も相次いでいます。遠方からわざわざ谷口医院に電話で相談する人もいるほどです。発熱したため、帰国者・接触者相談センターに電話して「(重症とは言えず新型コロナの検査の対象外とみなされたため、感染症中核病院でなく)近くのクリニッ…

この記事は有料記事です。

残り3063文字(全文3521文字)

谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト