“子ども食堂”の時代―親と子のSOS―

経済危機から命や健康を守るために

可知悠子・北里大学講師
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ひとり親家庭に配る食料などを箱に詰め込むNPO法人「太陽の家」のスタッフら=桑名市で20年3月9日、松本宣良撮影
ひとり親家庭に配る食料などを箱に詰め込むNPO法人「太陽の家」のスタッフら=桑名市で20年3月9日、松本宣良撮影

 経済協力開発機構(OECD)は3月2日発表の報告書の中で、「新型コロナウイルスの広がりにより、世界経済は金融危機以来最も深刻な脅威に直面している。先進国全体で感染が広がった場合、景況感の悪化は生産と支出に打撃を与え、日本やユーロ圏などでは不況に転じる恐れがある」と警告しました。不況は私たちの暮らしを脅かすだけでなく、健康や命を脅かすことが知られています。今回は「3歳児神話よりも、子どもの発達や健康に大切なこと」の後半をお伝えする予定でしたが、感染拡大の影響で急浮上した、経済危機と健康の問題を取り上げたいと思います。アジア通貨危機とリーマン・ショックを例に、エビデンス(根拠)に基づきお伝えしましょう。

 私たちの健康、そして命を脅かすものは、細菌やウイルスだけではありません。喫煙や過剰飲酒といった生活習慣や、脆弱(ぜいじゃく)な保健医療体制も健康を脅かしますし、低所得や不安定雇用といった個人の社会経済状況も脅かします。さらに、住んでいる国や地域の社会的なセーフティーネットや経済状況などによっても健康は左右されることが知られています。

 こうした健康を脅かす要因は、相互に関連しあっています。経済状況が悪化し、倒産などにより失業した際、経済的救済が乏しければ、家計の危機が訪れます。それにより、食費を抑えることで生活習慣が不適切になったり、困窮によるストレスが増えたりすることで健康が悪くなることがあります。

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可知悠子

北里大学講師

かち・ゆうこ 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。2006年から10年間、臨床心理士として子どもや女性のカウンセリングにあたる。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座助教、日本医科大学衛生学公衆衛生学教室助教を経て、18年4月から北里大学医学部公衆衛生学単位講師。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室客員研究員、国立成育医療研究センター社会医学研究部共同研究員、首都大学東京客員准教授。共著に「子どもの貧困と食格差~お腹いっぱい食べさせたい」(大月書店)。自身も3歳児の子育て中。労働者とその子どもの健康の社会格差をテーマに研究を行っている。