医療プレミア特集

性暴力の被害を埋もれさせないために

堀本江美・ブロッサム苗穂レディスクリニック院長
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 性暴力の根絶を求める人々のフラワーデモが各地に広がりを見せる中で迎えた今年の国際女性デー。そこで語られた被害は何年も前に遡るものも多く、表面化するのは氷山の一角に過ぎないことを示す。ブロッサム苗穂レディスクリニック院長、堀本江美さんの提言の2回目は韓国の制度に学ぶ証拠保全の取り組みを紹介する。

 性暴力被害者は泣き寝入りすることが多い。警察に届け出ないばかりか誰にも言えず、数十年間秘密にされることもある。加害者は捜査の対象にならないので逮捕もされない、罰も受けない、更生の機会もない。野放しにされるために次の被害者が発生する。韓国での視察と北海道内での活動をもとに、病院拠点型ワンストップセンターの拡充を提案したい。

 高校1年生の少女が無月経を訴えて受診したことがあった。妊娠10週だった。避妊状況を確認すると「避妊していない」と答えた。なぜ? コンドームを使いたがらない男性なのか、と聞くと、帰ってきた答えは「知らないひと」。

 どういうこと?「……」。時間をかけて一つ一つ、少女に確認する。その人とはどこで出会ったの? 「カラオケボックス」。彼女の話を要約すると、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じてしつこく会いたいとメッセージを送ってくる男がいた。複数のSNSを使い、あまりにしつこいため、段々恐ろしくなってきたが、男の求めに応じて一度会えばこの状況から逃れられるのでは、と考えたそうだ。

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