医療プレミア特集

性暴力を見逃さない医療者を育てる

堀本江美・ブロッサム苗穂レディスクリニック院長
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性暴力被害の深刻さ、支援の難しさについて学ぶ学生たち=札幌医科大学で2020年1月(堀本江美さん提供)
性暴力被害の深刻さ、支援の難しさについて学ぶ学生たち=札幌医科大学で2020年1月(堀本江美さん提供)

 被害者が落ち度を問われることを恐れて沈黙したり、子どもの性虐待のように被害を認識できなかったりすることも多い性暴力。だからこそ、医療者が正しい知識と実態を学び、早い段階で気づくことが重要だ。国際女性デーに合わせた堀本江美医師の提言の最終回は、医学生や看護学生に向けた活動についても報告する。

 性暴力は見知らぬ人物からの加害が2割と言われ、残りは家庭や学校、塾、スポーツ関連などの場で顔見知りによるものだ。身近な人からの被害を受けたことが声を上げにくくしており、特に子どもの性虐待は表面化しづらい。後に残る影響についても誤解されていることが多く、医師が見識を持っているかどうかは被害の発覚を左右する。医師や看護師など医療者の養成課程で性暴力被害について学ぶ意義は大きい。

 10歳の女児が警察の紹介で私のクリニックを受診したことがある。女児が母に語ったという話から、義父によるレイプが疑われていたが、1年以上が経過しており、診察しても被害の形跡を見つけることは出来なかった。

 後日、警察から義父の訴えを聞いた。義父は女児がうそをついていると言い、警察が女児の部屋を調べると、性的な場面の描写がほとんどの成人向け漫画が多数見つかったという。警察官は、女児がませた子どもなのではないかと語り、義父は、離婚を希望している母親が調停を優位に進める目的で女児にうその訴えをさせたと主張しているとも聞いた。動画など状況を示す記録がある場合を除くと、性的虐待では、身体的所見が証拠になるこ…

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