
新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、学校の休校や各イベントの自粛、感染者の多い地域での外出自粛の呼びかけが行われています。外出を控えることや屋外でのマスクや手袋の着用は感染予防の観点からは大切ですが、日光にあたる機会が極端に減少するとビタミンD不足に陥る可能性があるため注意が必要です。
ビタミンDの働きと特徴
ビタミンDは食べ物からのカルシウム吸収を促進するだけでなく、丈夫な骨をつくる働きがあります。食品からとることができるとともに、皮膚に日光(紫外線)をあてることで体内でつくることもできるビタミンです。日照量の少ない冬の間にビタミンDの蓄えも少なくなるため、2月から3月ごろはビタミンDが不足しやすい時期と考えられています。ビタミンDの不足は、子どものくる病や成人の骨軟化症、将来の骨粗しょう症のリスクを増大させます。
冬の間は、ビタミンD合成量が低下することに加え、外出自粛やマスクや手袋による皮膚の露出が減少することで、ビタミンD不足に陥る人が多くなることも考えられます。十分に日光にあたることが難しい場合には食事からなるべく多くのビタミンDとることが求められます。「日本人の食事摂取基準2020」では、欠乏を予防する観点から8.5μgの摂取を1日の目安量としています。
この記事は有料記事です。
残り688文字(全文1231文字)
管理栄養士
なりた・たかのぶ 1975年東京生まれ。社会福祉法人で管理栄養士の仕事をするかたわら、主にブログ「とらねこ日誌」やSNSなどインターネット上で食と健康関連の情報を発信している。栄養学の妥当な知識に基づく食育書「新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK」(内外出版社)を執筆。共著に「各分野の専門家が伝える子どもを守るために知っておきたいこと」(メタモル出版)、監修として「子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ」(オレンジページ)などに携わっている。