新型コロナ感染拡大防止のための休校が続き、子どもがデジタル機器に長時間接することを心配する保護者も少なくないだろう。3月には香川県で18歳未満を対象にゲームの時間を規制する「ネット・ゲーム依存症対策条例」が成立し、今月1日施行された。発達障害やその疑いのある子は、ネット依存のリスクが指摘されることもあるが、実際はどうなのか。鳥取大学大学院教授で当事者や家族の相談に応じている井上雅彦さんが依存の背景や対応策を解説する。

 最近、さまざまなメディアで取り上げられるようになった「ネット依存」という言葉ですが、実際にはどのようなものでしょうか。子どもの場合は発達障害や不登校、大人では引きこもりとの関連も聞かれるようになってきました。

 タケシさんは、中学2年生で自閉スペクトラム症(ASD)の診断があります。深夜までゲームをすることが増え、次の日が起きづらくなってきました。母親は「起こしてくれと頼まれたから起こしたのに逆切れされ、毎朝言い合いばかりになってきました。先日も『受験が近いのだし』と言うと、『おれのことなんて何もわからないくせに』と言われてしまいました」。母親だけで相談にきたときの訴えです。

 こうした相談では、子どもと親とで、困っていることが異なっているため、それぞれを整理していかなければなりません。親が子どもに求めていることは、「ゲームばかりしないでほしい」「勉強してほしい」「早く寝て、朝は自分で起きて、学校には休まず通ってほしい」――などが多いと思います。でも、親には、まず立ち止まって、「子どもがなぜゲームに没頭するのか?」「なぜ学校に行ったり勉強したりすることがつらいのか?」「…

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井上雅彦

鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座教授

鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座教授。専門は応用行動分析学、臨床心理学。同研究科付属臨床心理相談センターで発達障害を中心に当事者や家族の相談を受けている。公認心理師、臨床心理士、専門行動療法士などの資格を持ち、ペアレント・トレーニング・システムなどの支援プログラムを開発。主な著作に「発達が気になる幼児の親面接:支援者のためのガイドブック」(共著、金子書房)、「発達障害&グレーゾーンの小学生の育て方」(監修、LITALICO発達ナビ編集部協力、すばる舎)など。