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新型コロナ 検査が簡単に受けられない理由

石蔵文信・大阪大学招へい教授
新型コロナウイルス感染拡大防止のため「外出自粛」となり閑散とする街なか=東京都新宿区で2020年4月5日、玉城達郎撮影
新型コロナウイルス感染拡大防止のため「外出自粛」となり閑散とする街なか=東京都新宿区で2020年4月5日、玉城達郎撮影

 新型コロナウイルスが流行した当初は、PCR検査を一定の条件の人に限定していました。感染者の多くが無症状や軽症ですが、PCR検査をむやみに行うと、多くの患者さんが専門病院に殺到して医療崩壊が起こることが危惧されました。今は軽症の患者さんが入院できますが、大阪では今後患者さんが増えてきた時のことを考えて、軽症の患者さんはホテルなどの施設や自宅で過ごしてもらう計画を立てているそうです。

 3月の末に「コーヒーの匂いがわからない」とのことでPCR検査を受けて陽性反応が出た阪神の藤浪晋太郎投手も、ほとんど症状がないにもかかわらず入院しました。つまり、多くの感染者は無症状か軽症ですが、イタリアなどの報道を見ているとかなり致死率が高いような恐怖感があるでしょう。

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大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。