高齢者センターでは、夫婦が一緒の部屋で暮らすことも可能である。自己決定が最大限尊重されている=筆者撮影
高齢者センターでは、夫婦が一緒の部屋で暮らすことも可能である。自己決定が最大限尊重されている=筆者撮影

 今回は、デンマークの高齢者が可能な限り在宅を続けられるための態勢を支える高齢者福祉3原則についてお話します。3原則は、以下のとおりです。

1.継続性

2.自己決定

3.自己資源(残存能力)の活用

 この3原則は、1982年にデンマーク政府内に設けられた高齢者福祉審議会の答申で打ち出されました。当初、増大する高齢者福祉の支出を抑え、かつ質を落とさないためにはどうするかという狙いからでした。しかし、この考えは、国際的にも広がり、日本においても多少の変容はありますが、高齢者ケアに関わる人なら必ず目にしたり、聞いたりしたことがあるものです。

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銭本隆行

日本医療大学認知症研究所研究員

ぜにもと・たかゆき 1968年広島市生まれ、福岡市育ち。51歳。早稲田大学政治経済学部在学中にヨーロッパを放浪。そのときにデンマークと出会う。大学卒業後、時事通信社、産経新聞社で、11年間の記者生活を送る。2006年にデンマークへ渡り、デンマーク独自の学校制度「国民高等学校」であるノアフュンス・ホイスコーレの短期研修部門「日欧文化交流学院」の学院長を務めた。全寮制の同校で知的障害者のデンマーク人らと共に暮らし、日本からの福祉、教育、医療分野に関する研修を受け入れながら、デンマークと日本との交流を行ってきた。2010年にオーデンセペダゴー大学で教鞭を執り、2013年にはデンマークの認知症コーディネーター教育を受けた。  2015年末に日本に帰国し、2016年3月に名古屋市の日本福祉大通信制大学院で認知症ケアシステムに関する修士号を取得し、同年、福岡市の精神障害者の生活訓練事業所の設立・運営に携わる。現在は札幌市の日本医療大学認知症研究所と名古屋市の日本福祉大学大学院博士後期課程に在籍しながら地域包括ケアシステムに関する研究を進めている。ノーマライゼーション理念の提唱者であるデンマーク人の故N.E.バンクミケルセンにちなむN.E.バンクミケルセン記念財団理事も務める。