医療プレミア特集

「すでに医療崩壊」 地方病院の窮状

医療プレミア編集部
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常勤医10人で外来、入院、当直をこなす北海道の士別市立病院=同病院提供
常勤医10人で外来、入院、当直をこなす北海道の士別市立病院=同病院提供

 全国の医療機関が新型コロナウイルスによる「医療崩壊」に危機感を募らせる中、「もともと医療崩壊は起きている」と訴える医師がいる。北海道の北部、士別市にある士別市立病院の長島仁院長(60)だ。東京23区の倍近い面積(1119平方キロメートル)がある市内唯一の病院で、外来、入院、当直をわずか10人の常勤医と派遣の医師で支える。だが、新型コロナの感染拡大で、周辺の病院に重症患者の受け入れを断られるケースが生じている。毎日新聞の取材に応じた長島院長は「今後は、救急や外来の受け入れをやめるしかない可能性もあると覚悟を決めている」と言葉を絞り出した。【オピニオングループ・永山悦子】

 今月10日午後8時半、士別市立病院に救急車で急患が運び込まれた。農作業中に転落したという市内の70代の男性。内臓を損傷している恐れがあったが、以前からの人手不足のため、時間外の手術に対応できない状況だった。当直医は緊急手術を依頼しようと、救命救急センターがある約20キロ北にある名寄市立総合病院に連絡した。しかし、その日は受け入れ困難との回答が返ってきた。

 続いて、約50キロ南にある旭川市内の病院3カ所に当たった。最初の病院は既に緊急手術が入っていて断られ、さらに問い合わせた2カ所は「新型コロナ感染患者を受け入れており、新規の急患は受けられない」と言われた。

 このままでは患者の命が危ない。困り果てた当直医は…

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