実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 「3密」を楽しめる日は

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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緊急事態宣言を受けて人影もまばらな日没後の新宿・歌舞伎町=東京都新宿区で2020年4月16日午後6時45分、長谷川直亮撮影
緊急事態宣言を受けて人影もまばらな日没後の新宿・歌舞伎町=東京都新宿区で2020年4月16日午後6時45分、長谷川直亮撮影

 全国に拡大された緊急事態宣言の効果が少しずつ出ているのか、日々患者さんを診察したり電話再診で話を聞いたりしていると「あともう少し! がんばります!」という声が増えてきています。この「がんばります!」の意味は、例えば飲食店や販売業の人たちなら「今はお客さんが減って大変だけど、宣言が解消されれば元に戻る。だからそれまでの辛抱だ!」ということです。自宅待機している会社員の場合は「ステイホーム(家にいること)は食事も貧弱になりストレスがたまるけれど、あともう少しこの生活に耐えます!」ということになります。そういった言葉を聞くと「そうですね! がんばりましょうね!」と私は答えています。ですが、最近はもう少し現実的なこと、言い換えれば“悲観的”なことに目を向けるべきではないかと思うようになってきました。

 まずは緊急事態宣言の意味から考え直してみましょう。宣言は、内閣官房のウェブサイトに掲載されており、現状を「国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれ」があると認定しています。これをかみ砕いて私なりに解釈すると、「今のままだと感染者の急増が止まらず、他の目的で医療機関を受診する人も必要な治療を受けられなくなる。新型コロナのみならず他の病気でも死亡者が増加し日本の医療の機能が大きく損なわれる…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト