ER Dr.の救急よもやま話

新型コロナ 救急医療の危機「もっと検査を」

志賀隆・国際医療福祉大医学部救急医学教授(同大病院救急医療部)
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 緊急事態宣言が出た今、みなさまいかがお過ごしでしょうか。仕事や外出の制限があり、ご不便なことも多いかと思います。病院で働く我々はどうしているかといいますと、感染症内科や救急など感染症に関わる部門は忙しくしています。病院によっては、手術や内視鏡による治療、検査の多くが延期となっているところもあります。そのため、部門によっては忙しく、部門によってはそうではないという濃淡が生まれつつあります。現在、全国的に緊急事態宣言が出ていますが、とくに厳しい状況なのは東京都とその周辺です。救急の現場で働いていると、肺炎を疑うような発熱と呼吸困難があり、血液の酸素飽和度が低いという患者さんの受け入れ先がなかなか決まりません。患者さんが2時間救急車の中にいる、ということも珍しくありません。ということで今回は、新型コロナウイルスのまん延期となっている現在、我々が病院や医療機関ですべきこと、家ですべきことについてお話ししたいと思います。

 先ほどもご紹介したように、救急で診療していると「救急隊が患者を受け入れてくれる病院を探したが10件断られて見つからない。結局、30㎞先の病院に搬送する」などの事態を次々に経験します。

 その主な理由は、まず新型コロナウイルス陽性の患者さんの場合、感染症専用の病床が見つからないことです(地域によってはうまく見つかるのですが、東京周辺では見つからない地域が目立ちます)。軽症の方は入院せずにホテルなどを利用できるようになってきており、少し状況は改善されるかもしれません。それでも、患者さんの病状が落ち着かなければ入院は長引きますし、うまく回復しても退院前にPCR検査で陰性を確認すること…

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志賀隆

国際医療福祉大医学部救急医学教授(同大病院救急医療部)

しが・たかし 1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長などを経て20年6月から国際医療福祉大学医学部救急医学教授(同大学病院救急医療部)。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し、日々活動している。「考えるER」(シービーアール、共著)、「実践 シミュレーション教育」(メディカルサイエンスインターナショナル、監修・共著)、「医師人生は初期研修で決まる!って知ってた?」(メディカルサイエンス)など、救急や医学教育関連の著書・論文多数。