古民家を使った事業所。外出がままならない中、緑が目をいやしてくれる=筆者提供
古民家を使った事業所。外出がままならない中、緑が目をいやしてくれる=筆者提供

 新型コロナウイルス感染拡大が続き、終息の兆しを見せない中、事業者への休業要請が次々に出されるようになってきています。もちろん感染拡大を防ぐためには、何らかの対策を取らなければならないのは確かで、決して休業要請に反対しているわけではありません。しかし、休業は事業者の“死”に直結するものでもあり、そこには何らかの補償がないと容易ではありません。また、休業したくとも、在宅する国民のライフラインを守るために活動を続ける事業者や小売店、新型コロナウイルス以外の患者受け入れを続けざるを得ない医療機関があります。福祉分野においても、居住系サービスはそこに住んでいる人がいるために継続しなければならないのですが、通所系サービスも、自宅にじっとしていると支障があるから通所している人がいるという事情があり、簡単には休業できないのです。

 筆者が以前から関わっている福岡市の精神障害者事業所も新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)されています。施設長や職員たちからの話をもとにどのような状況かを紹介したいと思います。

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銭本隆行

日本医療大学認知症研究所研究員

ぜにもと・たかゆき 1968年広島市生まれ、福岡市育ち。51歳。早稲田大学政治経済学部在学中にヨーロッパを放浪。そのときにデンマークと出会う。大学卒業後、時事通信社、産経新聞社で、11年間の記者生活を送る。2006年にデンマークへ渡り、デンマーク独自の学校制度「国民高等学校」であるノアフュンス・ホイスコーレの短期研修部門「日欧文化交流学院」の学院長を務めた。全寮制の同校で知的障害者のデンマーク人らと共に暮らし、日本からの福祉、教育、医療分野に関する研修を受け入れながら、デンマークと日本との交流を行ってきた。2010年にオーデンセペダゴー大学で教鞭を執り、2013年にはデンマークの認知症コーディネーター教育を受けた。  2015年末に日本に帰国し、2016年3月に名古屋市の日本福祉大通信制大学院で認知症ケアシステムに関する修士号を取得し、同年、福岡市の精神障害者の生活訓練事業所の設立・運営に携わる。現在は札幌市の日本医療大学認知症研究所と名古屋市の日本福祉大学大学院博士後期課程に在籍しながら地域包括ケアシステムに関する研究を進めている。ノーマライゼーション理念の提唱者であるデンマーク人の故N.E.バンクミケルセンにちなむN.E.バンクミケルセン記念財団理事も務める。