実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 感染の実態調査で差別解消を

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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車に乗ったまま検体を採取できるドライブスルー方式のPCR検査の訓練をする医師ら=山梨県中央市で2020年4月28日午後1時57分、金子昇太撮影
車に乗ったまま検体を採取できるドライブスルー方式のPCR検査の訓練をする医師ら=山梨県中央市で2020年4月28日午後1時57分、金子昇太撮影

 前回、新型コロナウイルスに対する抗体を調べるための「自分で検体を採って行う抗体検査」は受けるべきではないと述べました。しかし私は、全ての抗体検査に反対しているわけではありません。それどころか、抗体検査を使って大規模な調査をすべきだと考えています。理由は、新型コロナによって起きている、ひどい差別の解消に役立つと考えるからです。前回と話が違う、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。今回はこの説明をします。

 太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)によく寄せられる質問に「自分で検体を採る抗体検査はよくないとして、では、一部のクリニックが実施している抗体検査はどうなんですか?」というものがあります。医師にもいろんな考えがあっていいとは思いますが、私自身は現在流通している抗体検査は、クリニックで実施しているものも受けないほうがよいと考えます。理由は下記の通りです。

 (1)前回述べたように「陽性」と出ても「陰性」と出ても、その解釈は①今、感染している②過去に感染して治った③一度も感染していない――のいずれでもあり得て区別がつかない。つまり、検査結果だけみても、その後の行動方針を決められない。

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト