
新型コロナウイルス対策で、先月の公衆衛生学の授業は急きょ自宅学習になりました。公衆衛生をわかりやすく言うと「みんなの健康」です。人間の歴史を通じて、人の移動や密集は病気のまん延につながり、未知の病気が正しく理解されないうちは、まず存在が否定され、特定の誰かのせいにされ、インチキ医療がはやり、犠牲者であるはずの患者が排除されるという悲劇が繰り返されます。他方、ナイチンゲールは、まだ細菌もウイルスも見えない時代に、病気の発生状況を数値で見える化し、「みんな」で取り組む必要性を示しました。
学問は発展し、今回は3密(密閉・密集・密接)を避け距離を2メートル取り、手洗いとせきエチケットで流行を抑えられるとされています。あとは「みんな」が理解して日々適切な意思決定をするヘルスリテラシーが問われます。
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中山 和弘
聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授
1985年に東京大医学部保健学科を卒業し、90年に同大大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、愛知県立看護大助教授などを経て、2004年から聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授。適切な情報に基づく意思決定や行動をケアする看護情報学、保健医療社会学が専門。ヘルスリテラシー、意思決定支援、ヘルスコミュニケーションやそのサポートネットワークなどについて研究している。ウェブサイト「健康を決める力」(http://www.healthliteracy.jp/)を運営。
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