ジソウのお仕事

3人の母たちに児童福祉司が思うこと

青山さくら・児童福祉司
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 子どもの虐待死が起きると注目される児童相談所(児相)ですが、どんな仕事があり、子どもたちはどのように関わるのか、あまり多くは知られていません。児童福祉司として働いた青山さくらさんが児相の日常とそこで働く人の思いを描く連載「ジソウのお仕事」。今回は全く異なる3人の「お母さん」が登場します。

 「子どもが私になつかないんです」と、母親からの相談電話を受けた。

 お子さんはおいくつですか?と聞くと、「4カ月です」と言うから噴き出しそうになった。でも笑ってはいけない。相談者は真剣だ。「わたしが抱くと泣くんです。ほかの人だったら泣かないのに……」。涙ながらに訴える声。若くはなさそうだ。不妊治療で大衆車が買えるくらいのお金をかけて、ようやく授かった子ども。もう、夫の親や親戚から「子どもはまだか」と言われることもない。肩の荷が下りた。それなのに……。「苦労して産…

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青山さくら

児童福祉司

「青山さくら」はペンネーム。複数の児童相談所で児童福祉司として勤務。「ジソウのお仕事」は隔月刊誌「くらしと教育をつなぐWe」(フェミックス)で2009年4月から連載。過去の連載の一部に、川松亮・明星大学常勤教授の解説を加えた「ジソウのお仕事―50の物語(ショートストーリー)で考える子ども虐待と児童相談所」(フェミックス)が20年1月刊行された。絵・中畝治子