心の天気図

今こそ体を動かす

佐々木 司・東京大学教授・精神科医
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 緊急事態宣言が発令されて1カ月以上。緊張を強いられる生活が続き、疲れを感じている人も多いだろう。外出の度に手を洗い、鍵を洗い、携帯を消毒し、買った物を洗い、を毎日続けていると、必要とは分かっていても精神的にまいってくる。疲れ果てないための対策が必要だ。

 診察でもさまざまな変化と困難を耳にする。最も多く聞くのが運動不足だ。在宅勤務が増えた人では、日に5000歩、6000歩と歩いていたのが、1日数百歩に減ってしまった人もいる。ストレスだった混んだ電車での通勤も、意外に運動の役割は担っていたようだ。職場内での移動も、自宅での仕事に比べれば運動量が多かったのだろう。

 毎日の歩数が減れば足腰が弱り、転倒のリスクが高くなるのは容易に想像がつく。しかし影響はそれだけではない。まず不眠である。診察でも「眠りが浅く、夜中に目がさめるようになった」との訴えを多く聞くようになった。また「気分が沈みやすい」「いら立ちやすい」など、精神状態に関する訴えも増えた。

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佐々木 司

東京大学教授・精神科医

東京大学医学部医学科卒。東大病院、財団法人神経研究所晴和病院での勤務を経て、トロント大学クラーク精神医学研究所に留学。帝京大学医学部講師などを勤め、2008年に東京大教授。生活習慣や環境的諸要因と「こころと体」の健康との関連の解明、学校精神保健教育プログラム開発などを進め、英文国際誌を中心に成果を発表している。日本不安症学会理事長、日本学校保健学会常任理事。一般向け著書としては「その習慣を変えれば『うつ』は良くなる!」、共著に「精神科医と養護教諭がホンネで語る 思春期の精神疾患」