いきいき女性の健康ノート

知っておきたい 第三者からの精子・卵子提供

福島安紀・医療ライター
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 新生児の16人に1人(2017年、日本産科婦人科学会調査)が、体外受精などの生殖補助医療で生まれる現代、生殖補助医療の助けを借りて子どもを授かることは、決して珍しいことではなくなった。一方で、生命の誕生の一歩である受精が女性の体外で行えるようになって、可能になったのが、第三者からの精子や卵子の提供による出産だ。日本では精子・卵子の第三者からの提供による生殖補助医療はどうなっているのか。「生殖医療の衝撃」(講談社現代新書)などの著書があり、海外の事情にも詳しい埼玉医科大学病院産婦人科教授の石原理さんが解説する。

 医学が進んだ現代でも生殖補助医療には限界があり、体外受精・顕微授精を繰り返しても、出産にこぎつけられない夫婦もいる。まずは、男性側に不妊の原因がある場合の第三者からの精子提供について考えてみよう。前回、「知っておきたい不妊治療の選択肢」で取り上げたように、現代の生殖補助医療では、男性から精子が一つでも採取できれば、細い針で精子を卵子の中に注入する顕微授精によって、妊娠・出産にこぎつける可能性がある。しかし、一つも精子のない無精子症の場合には、夫婦間での生殖補助医療は不可能だ。

 「男性側に不妊の原因があるカップルに用いられる有効な方法として、第三者から提供された精子を女性の子宮内に注入する人工授精が、すでに1940年代から、世界各国で実施されていました。精子を提供する側は、マスターベーションで精液を採取すればいいだけですから簡単です。日本でも、慶応義塾大学病院が48年から、夫が無精子症の女性などを対象に、提供精子による人工授精を開始しています。現在は、感染症の伝播(でん…

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福島安紀

医療ライター

ふくしま・あき 1967年生まれ。90年立教大学法学部卒。医療系出版社、サンデー毎日専属記者を経てフリーランスに。医療・介護問題を中心に取材・執筆活動を行う。社会福祉士。著書に「がん、脳卒中、心臓病 三大病死亡 衝撃の地域格差」(中央公論新社、共著)、「病院がまるごとやさしくわかる本」(秀和システム)など。興味のあるテーマは、がん医療、当事者活動、医療費、認知症、心臓病、脳疾患。