実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 「二度とかからない」との思い込み

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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 緊急事態宣言が解除されました。しばらく前から、街の雰囲気に緊張感が低下してきています。通りを歩けば日に日にマスクをしない人が目立つようになり、太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)にもマスクをせずに受診する人がちらほらと現れだしました。

 しかし解除になったとはいえ、風邪の症状がある人もまったくない人も、他人と接する時には原則としてマスクを外すべきではありません。過去2週間ほどの間、私は「マスクをたまにしか装着しない」という人たちに「なぜマスクを外すのですか?」と尋ねてみました。興味深いことに答えは二つに分かれました。一つは「もう大丈夫でしょ」というもの。これは「感染者が減ったから自分はかからないと思う」という意味です。そして、もう一つの答えは「もう感染して治りました」というものです。検査をしたわけでもないのに、です。

 マスクに関する最重要事項は「自分のためでなく他人のために着用する」です。過去のコラム「鼻にいるコロナは喉の1万倍 対策は『うがい』」で紹介した論文によれば、新型コロナの場合、マスクを装着することで(ほぼ)100%他人に感染させることを防げます。これは、インフルエンザやライノウイルス(風邪をもたらすウイルスで最多)と異なる点で、非常に重要です。

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト