医療プレミア特集

新型コロナ禍の登校再開 発達障害への配慮を

井上雅彦・鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座教授
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 新型コロナウイルスの感染拡大で子どもたちの生活は大きく変わりました。非常事態宣言が解除され、登校を再開する学校は増えましたが、発達障害やグレーゾーンの子どもたちは大人が想像する以上に困っていることがあります。鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座の井上雅彦教授が解説します。

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 鳥取県では、他の地域に比べ早い段階で特別支援学校も含む学校への登校が再開され、はや1カ月がたちました。私のもとには登校再開に伴って、本人や家族からの声がいくつか寄せられています。きちんとした調査研究に基づくものではありませんが、登校再開にあたり、現時点で配慮したり検討したりすべき課題をまとめてみました。登校再開して間もない地域、これから再開に向かう地域の家族や支援者の参考になれば幸いです。

 自閉スペクトラム症の診断のある男子中学生Aさん。保護者によると、通っている通常学級の休校期間中は、よく眠れないため深夜までゲームをしたり動画を見たりすることが習慣になっていました。登校再開後は朝起きることが難しく、学校から帰ってくると疲れて寝てしまうことが増え、イライラして家族にあたることも多くなりました。宿題も急に大量に出され、やる気を失いがちということでした。

 Aさんに限らず、外出を自粛する生活が続いたことにより生活リズムが乱れ、体力の低下している子どもは多いようです。さらに、登校再開後に時間割や校内のルールがさまざまに変えられ、そのことが精神的疲労をさらに強めてしまいます。人によっては疲労感というよりは、抑うつ気分、イライラ、怒りの感情など、気分や感情面の変化、感覚過敏として表れる子もいます。家族は「一気に元の生活に戻さなければ」と子どもを追い込まな…

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井上雅彦

鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座教授

鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座教授。専門は応用行動分析学、臨床心理学。同研究科付属臨床心理相談センターで発達障害を中心に当事者や家族の相談を受けている。公認心理師、臨床心理士、専門行動療法士などの資格を持ち、ペアレント・トレーニング・システムなどの支援プログラムを開発。主な著作に「発達が気になる幼児の親面接:支援者のためのガイドブック」(共著、金子書房)、「発達障害&グレーゾーンの小学生の育て方」(監修、LITALICO発達ナビ編集部協力、すばる舎)など。