心の天気図

お父さん死なないで

佐々木 司・東京大学教授・精神科医
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 新型コロナウイルスの感染拡大は社会・経済に大きな打撃を与えている。このような時、精神科医として最も心配なのが自殺の増加だ。

 これまで我が国で自殺者が最も増加したのは1998年の不況の時で、2万人台前半から3万人超へと急増した。増加の8割は男性で、かつ中高年で目立った。97年末から複数の巨大金融企業が1兆円を超える負債を抱えて倒産し、国全体に倒産と失業が広がったことが影響したと考えられる。その後2011年まで自殺者は毎年3万人を超え続け、以前の数まで減ったのは、つい数年前のことだ。

 今回の不況では大規模な財政出動も行われるようだが、感染の影響が長期化する現状では経済対策だけでなく、自殺予防に直接役立つ対策と知識向上が不可欠だ。

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佐々木 司

東京大学教授・精神科医

東京大学医学部医学科卒。東大病院、財団法人神経研究所晴和病院での勤務を経て、トロント大学クラーク精神医学研究所に留学。帝京大学医学部講師などを勤め、2008年に東京大教授。生活習慣や環境的諸要因と「こころと体」の健康との関連の解明、学校精神保健教育プログラム開発などを進め、英文国際誌を中心に成果を発表している。日本不安症学会理事長、日本学校保健学会常任理事。一般向け著書としては「その習慣を変えれば『うつ』は良くなる!」、共著に「精神科医と養護教諭がホンネで語る 思春期の精神疾患」