今回取り上げるのはレビー小体型認知症です。この病気は、神経に「レビー小体」という異常なたんぱく質の塊がたまることによって発症します。認知症の一つですから認知機能障害が必ず表れるのですが、出やすい症状が他にもいろいろあります。まず、しっかりしている時とぼーっとしている時で差が激しいという「認知機能変動」が5人のうち4人にみられます。また、手足が震えたり動作が遅くなったり小刻み歩行になったりする「パーキンソン症状」が4人のうち3人にみられます。さらに、眠っている間に無意識のうちに大声を上げたり手足をばたばたさせたりする「レム睡眠行動障害」が4人のうち3人にみられます。実際には存在しないものが見える「幻視」も10人のうち7人にみられます。

 こうした病状は、徐々に悪化することが多いです。レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の進行速度を比べた18編の研究の結果をまとめた解析(メタ解析)では、両者とも同じようにゆっくりと進行すると報告されています。ただ、個人差が大きいので、平均すれば進行速度は緩やかなのですが、比較的急に進む人もいれば、なかなか進まない人もいます。中には「それまでとあまり変わらない社会生活を送ることができる」と言う…

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小田陽彦

ひょうごこころの医療センター認知症疾患医療センター長

おだ・はるひこ 1977年、兵庫県西宮市出身。兵庫県立ひょうごこころの医療センター精神科医師。神戸大学医学部卒。医学博士。神戸大学医学部精神科助教、兵庫県立姫路循環器病センター等を経て2017年4月より現職。日本精神神経学会専門医・指導医。日本老年精神医学会専門医・指導医・評議員。著書に「科学的認知症診療」(シーニュ社、2018)