
子宮頸(けい)がんの原因のほぼ100%が性交渉に伴うヒトパピローマウイルス(HPV)です。性交渉の開始が低年齢化し、今や30代がピークで、20代にも急増しています。
ただ、ウイルス感染がなければ子宮頸がんの発症はまずありません。ワクチンによる予防が可能ですが、ウイルスにはさまざまな型があり、ワクチンはすべての感染を予防できるわけではありません。しかし、接種すれば子宮頸がんの発症リスクは3割程度まで(海外の最新のものでは1割まで)下がります。
日本でも、2013年4月から子宮頸がん予防ワクチンは予防接種法に基づいて無料で定期接種が可能となり、接種率も一時7割に達しました。しかし、副反応の報告などによって、同年6月には厚生労働省が積極的な勧奨を中止し、現…
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東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授
1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。
連載:Dr.中川のがんのひみつ
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