ボストン発 ウェルエイジング実践術

新型コロナ 米国での流行と差別抗議デモ

大西睦子・内科医
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数千人が参加したジョージ・フロイドさんの追悼式=米ニューヨークで2020年6月4日、隅俊之撮影
数千人が参加したジョージ・フロイドさんの追悼式=米ニューヨークで2020年6月4日、隅俊之撮影

 2020年5月25日、米国ミネソタ州ミネアポリスの路上で白人の警察官が、黒人男性ジョージ・フロイドさんを、首に膝を8分46秒間押しつけて殺害しました。その様子がビデオに残っています。ビデオの中でフロイドさんは、苦しみながら何度も「お願いします」「息ができない!」と訴えています。そして息も絶え絶えに「ママ!」「ママ、終わりです」と、2年前に亡くなった母親に呼びかけました。そんな叫びを警察官はまったく気にもせず、フロイドさんが無反応となった後も2分53秒間、膝で首を押し続けました。このビデオはソーシャルメディアを通じて一気に拡散し、多くの米国人の怒りと苦痛が爆発しました。そして全米すべての州で、歴史上最大規模ともいわれる抗議が始まりました。

 一方、米国では新型コロナウイルスの感染が猛威をふるい続け、これまでに11万人以上の米国人が亡くなりました。この状況で、警察の残虐行為をめぐる大規模な抗議デモは、感染が広がる懸念を引き起こしています。ところが米国では、抗議を支持し、参加する医療専門家もいます。なぜなら、米国での新型コロナウイルスの感染と人種差別は、切っても切れない関係があるからです。

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大西睦子

内科医

おおにし・むつこ 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に、「カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側」(ダイヤモンド社)、「『カロリーゼロ』はかえって太る!」(講談社+α新書)、「健康でいたければ『それ』は食べるな」(朝日新聞出版)。