百年人生を生きる

「死の体験旅行」が生を充実させる

星野哲・ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員
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「死の体験旅行」ワークショップの様子=浦上哲也さん提供
「死の体験旅行」ワークショップの様子=浦上哲也さん提供

 誰がいつ発症するかわからない新型コロナウイルス感染の広がりで、「死」をこれまで以上にリアリティーをもって受け止めるようになったという人も多いだろう。感染拡大以前から、死とはどのようなものかを考えることによって「生」を充実させようという取り組みがあった。その一つが、横浜市のあるお寺を中心に各地で開かれている「死の体験旅行」というワークショップだ。病気になってから死を迎えるまでを疑似体験することで、自分にとって大切なものは何かを考える。感染拡大防止のため中止していたが、7月18日に再開予定だ。募集と同時に定員がすぐうまるほど人気のワークショップとはどんなものかを紹介する。いまだからこそ、死と向き合うヒントがあるかもしれない。

 このワークショップを主宰しているのは、横浜市神奈川区のお寺「倶生山(ぐしょうさん)なごみ庵(あん)」(浄土真宗単立)の住職、浦上哲也さん(46)。ワークはこんなふうに進む。

 20人ほどの参加者は壁に向かって着席する。参加者に浦上さんが語りかける。「使うものは想像力とペンだけです。まずは今から配る20枚のカードに、みなさんの大切な人やもの、行為などを一つずつ書いていってください」

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星野哲

ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員

ほしの・さとし 1962年生まれ。元朝日新聞記者。30年ほど前、墓や葬儀の変化に関心を持って以降、終活関連全般、特にライフエンディングについて取材、研究を続けている。2016年に独立。立教大学大学院、東京墨田看護専門学校で教えるほか、各地で講演活動も続ける。「つながり」について考えるウエブサイト「集活ラボ」の企画・運営も手がける。著書に「遺贈寄付 最期のお金の活かし方」(2018年、幻冬舎)「『定年後』はお寺が居場所」(同、集英社新書)「終活難民-あなたは誰に送ってもらえますか」(2014年、平凡社新書)ほか。