医療プレミア特集

クラスター発生 その時 施設内は

医療プレミア編集部
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防護服やゴーグルを着用し、回診前の打ち合わせをする富山大病院の山城清二教授(中央)ら=富山市の富山リハビリテーションホームで2020年5月4日、山城教授提供
防護服やゴーグルを着用し、回診前の打ち合わせをする富山大病院の山城清二教授(中央)ら=富山市の富山リハビリテーションホームで2020年5月4日、山城教授提供

 新型コロナウイルス感染症を巡り、高齢者が利用する各地の施設で相次いでクラスター(感染者集団)が発生した。その一つ、富山市の介護老人保健施設「富山リハビリテーションホーム」では、4月17日以降、入所者41人、職員18人の計59人が感染し、そのうち入所者15人が死亡した(陽性のまま亡くなったのは12人、陰性後は3人)。地域の医療機関では、感染症に対応できる病床の不足などから、感染した入所者全員を入院させるのは困難。そのため、半数近くは施設内で療養することになった。総合診療医の山城清二・富山大教授は、富山県の要請を受けて毎日、施設で医療支援にあたった。そこで目の当たりにしたのは、「介護崩壊の一歩手前」ともいえる極限だったという。山城教授に、クラスターと対峙(たいじ)した4週間と、見えた課題を聞いた。【くらし医療部・黒田阿紗子】

<4月17日、発熱やせきなどの症状があった80代女性の入所者が、搬送先の病院で感染の有無を調べるPCR検査を受け、初めて新型コロナの陽性だと分かった。同じ日、同室の90代女性が搬送先で死亡。翌日に陽性と判明し、富山県内で初めての死者となった。その時点で、入所者66人のうち延べ20人以上が発熱していた。県は救急や感染症専門の医師を施設に派遣し、体調の悪い入所者を順番に搬送。市保健所が19日から4日間かけて、すべての入所者と職員を対象にPCR検査を行い、クラスターの発生が確認された。山城教授に声がかかったのは、ちょうどその頃だった>

 初めて富山リハビリに視察に行ったのは4月23日。富山大病院の救急の医師から「ある施設でとんでもないことが起こっている」と相談を受けたのがきっかけで、一緒について行くことになった。

 足を踏み入れ、言葉を失った。約50人の入所者を、たった5人(施設長、看護師2人、介護職、事務員)の職員が昼夜交代で介護していたからだ。元々の職員は64人だが、感染などで働くことができる人が減っていた。おむつ交換、食事や水分補給といっ…

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