実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 「空気感染」は怖くない

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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 ここ数日間でネット上をにぎわせているニュースが「新型コロナは“空気感染”する」というものです。きっかけは、医学誌「Clinical Infectious Disease」2020年7月6日号に掲載された「新型コロナの空気感染を宣言するときがきた(It is Time to Address Airborne Transmission of COVID-19 )」です。タイトルからも想像できるように、これは論文というよりも「意見表明」のような簡潔で短い文章で、世界の239人の科学者が世界保健機関(WHO)に新型コロナウイルスの感染経路の修正を要請しています。これを米紙ニューヨーク・タイムズが、医学誌が発行される2日前、7月4日に「239人の専門家が主張~新型コロナは空気感染する~(239 Experts With One Big Claim: The Coronavirus Is Airborne)」というタイトルの記事として掲載し、これが世界に広がりました。

 日本の各メディアやネットニュースでもこの話題が取り上げられ物議を醸しています。論文と各メディアの報道からまずは要旨をまとめてみましょう。

・WHOは以前から、「コロナウイルスは、せきやくしゃみに含まれる大きな飛沫(ひまつ=しぶきのこと)によって他人に感染する」と説明していた。つまりWHOの見解は「コロナウイルスの感染経路は(接触感染以外には)飛沫感染であり、空気感染はない」というものであった。

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト