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開発が進む人工血液で血液不足を解消

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 献血による血液は、献血者層の中心を占める若い世代の人口減少で、今後、ますます不足し、2027年には100万人分の血液が足りなくなるのではないかと予測されています。そんななか、人工血液の開発が進んでおり、19年9月、防衛医科大学、奈良県立医科大学、早稲田大学の共同研究チームが、人工血液を用いて大量出血したウサギの救命実験に成功したと発表しました。ヒトでの臨床試験が開始される日も近いといわれています。

 血液は血漿(けっしょう)と血球(赤血球・白血球・血小板)からなり、体の細胞に酸素を送る赤血球と、出血を止める働きをもつ血小板が、失血などによって失われると、重篤な状態に陥ります。実験では人工赤血球(酸素運搬ナノ粒子)と、人工血小板(止血ナノ粒子)を使用し、10羽中6羽のウサギの救命に成功しました。本物の血液で救命されたのは、10羽中7羽とのことで、人工血液は血液にかなり近い結果が出たといえるでしょう。では、人工血液とはどのような構造で、どのようにつくられるのでしょうか。

 まず、保存期間を過ぎて廃棄される予定の血液の赤血球からヘモグロビンを精製します。このときに細菌やウイルスを除去し、さらにヒトの血液型を決める「糖鎖(とうさ)」と呼ばれる分子も排除します。このため、A、O、B、ABのどの血液型でも使える形になります。精製されたヘモグロビンはリポゾームという細胞膜成分でつくられたカプセルに入れられ、酸素を運搬する役割を担います。

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