新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者集団)が4月に発生した東京都江東区の特別養護老人ホーム「北砂ホーム」。北砂ホームから約2.5キロ離れた場所には同じ法人が運営する「あそか病院」(東京都江東区)があり、搬送された入居者の治療にあたった。施設と病院、両方の指揮を執った社会福祉法人「あそか会」の古城資久理事長と、施設内で医療支援にあたった白石広照医師、和田敬子施設長に、感染拡大を防ぐために必要な取り組みなどを聞いた。【くらし医療部・黒田阿紗子】
油断につながった最初の「陰性」
<4月当時は、東京都内でも介護施設などでクラスターが多発し、入院先の調整まで数日かかることも珍しくなかった。あそか病院が新型コロナの専用フロアを設けたことで、北砂ホームの入居者は必要なタイミングで搬送することができた>
古城 陽性の入居者40人のうち、新型コロナの症状が出てあそか病院に搬送されたのは24人。一番多い時期は、17~18人が入院していた。(新型コロナの感染患者を受け入れる)感染症診療協力病院として、4階をまるごと新型コロナ患者専用の病棟にし、呼吸器内科の医師が専従で治療にあたった。残念ながら、搬送後に5人の方が亡くなった。施設内で亡くなった人はいない。
4月27日の(新型コロナウイルスへの感染の有無を調べるための)全数検査から2週間が過ぎた5月13日に2回目、27日に3回目の入所者の検査を行った。3回目の時点で陽性は5人となった。施設全体を消毒し、6月1日からデイサービスを再開した。
実は、入居者が最初に発熱した時期に、職員にも発熱者が1人いて、保健所でPCR検査を受けたところ陰性だった。それで油断し、疑いを持つのが遅れたところがある。入居者の発熱からタイムラグなく検査できれば、もっと感染拡大を防ぐことができたかもしれない。
迅速な「全員検査」がカギ
<感染が大規模に広がった米国やイタリアでは、介護施設で多数の入居者が亡くなる悲劇が起きた。日本でも、第2波に向けた対策を迫られている>
古城 施設でクラスターが発生したら、即日…
この記事は有料記事です。
残り2359文字(全文3225文字)
連載:医療プレミア特集
- 前の記事
- クラスター発生 「北砂ホーム」では(上)
- 次の記事
- 西口洋平さんを偲ぶ