多民族時代の健康パスポート

新型コロナ 第2波に備え発熱外来を

濱田篤郎・東京医科大学教授
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2009年に新型インフルエンザが流行した際、神奈川県海老名市で行われた発熱外来の設置訓練=2009年5月21日午後4時20分、長真一撮影
2009年に新型インフルエンザが流行した際、神奈川県海老名市で行われた発熱外来の設置訓練=2009年5月21日午後4時20分、長真一撮影

 7月に入り東京を中心に新型コロナウイルスの流行が再燃しています。第1波のピーク時にも匹敵する感染者数が発生していますが、7月16日に開催された政府の第2回分科会では、感染爆発のような事態には至らないだろうとの発表がされました。一方、今の時期は、秋以降におこると予想される本格的第2波流行への準備をする時期でしたが、その大切な時期に流行が再燃してしまったのです。現在の流行の火を早めに消すとともに、秋以降の対策を同時に進めなくてはなりません。今回は、欧米での第1波流行の経験を振り返りながら、秋以降の第2波対策について解説します。

 日本では新型コロナの第1波とされる流行が3月から5月にかけて起こりました。7月からはその再燃とみられる流行が発生し、この結果、7月20日までに累積で約2万5000人の感染者が報告されています。この数は世界的にみると決して多い数字ではありません。20日現在、米国では約380万人、ブラジルでは約210万人、英国でも約30万人と桁違いの感染者がでています。

 厚生労働省が6月中旬に行った国民の、新型コロナウイルスに対する抗体保有状況調査でも、検査対象者のうち抗体保有者(過去に感染したとみられる人)の割合は、東京で0.10%、大阪では0.17%と大変少ない数でした。米国ではこの数が約10%と報告されています。今までのところ、日本で新型コロナに感染した国民はほんの一部であり、これは、「日本国民の多くが第2波で感染するリスクがある」と言い換えることができま…

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濱田篤郎

東京医科大学教授

はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。