健康をつくる栄養学のキホン

自粛生活 「時短料理」にご用心

成田崇信・管理栄養士
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 学校も夏休みに入り、子どもの昼食に頭を悩ませている人も多いことと思います。今年はさらに新型コロナウイルスの流行により、自宅で食事をする機会も増えており、時間をかけずにおいしくできる「時短料理」のニーズが高まっているようです。タレントや視聴者が自宅のキッチンからリモート中継で時短料理に挑戦する番組を見かけるようになりました。

 時短料理のテクニックは私も参考にさせていただいています。しかし、中には時間の短縮を求めるあまり、省いてはいけない手順をないがしろにしているようなものもあります。家庭で同じように行うと、食中毒を起こすリスクがあると考えられます。

 時短料理で起こりやすい食中毒の特徴と、予防のための調理作業の注意点を紹介します。

(サルモネラ、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌)

 これらは、料理や食材に付着した細菌が保存中に増殖したものを加熱不十分なまま食べることで発症することの多い食中毒です。黄色ブドウ球菌がつくりだす「エンテロトキシン」という毒素は耐熱性が高く加熱しても壊れないため、食品の中で増殖させないことが大切です。でんぷん質の多い食品で繁殖しやすく、ご飯を素手で握るおにぎりでの発症が多いことが知られています。

 時短料理では、食材の調味やカットをまとめて前日に行うことがあるようです。しかし、保存中に細菌が増殖するおそれがあるため、調理の際には中心までしっかり加熱することが大切です。フレン…

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成田崇信

管理栄養士

なりた・たかのぶ 1975年東京生まれ。社会福祉法人で管理栄養士の仕事をするかたわら、主にブログ「とらねこ日誌」やSNSなどインターネット上で食と健康関連の情報を発信している。栄養学の妥当な知識に基づく食育書「新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK」(内外出版社)を執筆。共著に「各分野の専門家が伝える子どもを守るために知っておきたいこと」(メタモル出版)、監修として「子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ」(オレンジページ)などに携わっている。