新型コロナウイルス対策で注目を集めている首長の一人の鈴木直道・北海道知事が、毎日新聞の単独インタビューに応じた。2月中旬の初動段階で既に「国は当てにならない」と感じたという鈴木知事は、感染を広げないための往来制限などは日本全体の戦略が必要だと指摘し、国に主体性の発揮を求めた。インタビュー後半では、感染者の情報公開のあり方について疑問をぶつけた(取材は7月28日)。【聞き手 清水健二・北海道報道部長、まとめ 北海道報道部・山下智恵】
――北海道で初めて感染者が確認された1月28日から半年がたちました。当初の対策をどう評価しますか。
◆感染は、日本国内から始まったのではなく、中国でのパンデミックから拡大した。その意味で水際対策が非常に重要だ。国は帰国者や入国者の検査・隔離の体制が取れていなかった。
中国・武漢からのチャーター機での帰国者に宿泊療養を求めたが、感染者のいるほかの地域からの帰国者には同じ対応をしていなかったし、入国規制も実行するまで時間差があった。国内の移動でも、感染している地域とそうでない地域がある。サーモグラフィーの設置は私が赤羽一嘉国土交通相に直接話したことで主要な空港に設置された。後からだから言えることだが、水際対策は早いほうが良かった。
――道は感染拡大が顕著になったことから、2月28日~3月19日に独自の緊急事態宣言を出し、解除時に社会経済の回復と感染防止の両立を表明しました。その後、道内では第2波が起こりました。解除した判断についてはどう評価していますか。
◆当初から「3週間」と定めていた期間の中で、医療崩壊を起こすような爆発的な感染拡大がなく、一定の収束をしていた。(宣言を解除した)3月19日の時点で、感染拡大防止と社会経済の両立をやらなければならなかった。社会活動の新たな一歩が必要だった。
宣言解除後になぜ感染が再び流行拡大したかの評価は難しい。ただ、道内が一定の感染を抑え込めた時期に、東京や大阪で感染拡大し、往来の制限が全国単位でできなかった。今もそうだが、感染が拡大している地域とそうでない地域がある中、都道府県単独で往来抑制をするのは難しい。日本全体での戦略がないと往来は感染を…
この記事は有料記事です。
残り2751文字(全文3671文字)
医療プレミア編集部
毎日新聞医療プレミア編集部は、国内外の医師、研究者、ジャーナリストとのネットワークを生かし、日々の生活に役立ち、知的好奇心を刺激する医療・健康情報をお届けします。