医療プレミア特集

来年は薬価下がる? 改定を巡る政官業の攻防

医療プレミア編集部
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今年の薬価調査に反対意見が相次いだ自民党厚生労働部会=東京都千代田区の自民党本部で2020年7月9日、原田啓之撮影
今年の薬価調査に反対意見が相次いだ自民党厚生労働部会=東京都千代田区の自民党本部で2020年7月9日、原田啓之撮影

 保険証を使って購入する医薬品の値段「薬価」について、政府は財政支出や国民負担を減らすため、価格を引き下げるペースを2年に1度から毎年へと変更する予定だ。ただ、新型コロナウイルス感染症の流行で患者が減り、病院や薬局の売り上げが下がる中、業界団体や与党議員が反対の声を強めている。果たして、来年4月に薬の値段は下がるのか。【くらし医療部・原田啓之】

 7月9日、東京・永田町にある自民党本部7階の701号室で厚生労働部会が開かれた。議題は、1週間後に閣議決定される政府の経済財政の運営方針「骨太の方針2020」。大勢の議員で「すし詰め」状態になる中、福岡資麿(たかまろ)参院議員が口火を切った。

 「新型コロナの感染拡大傾向がみられる中、薬価調査で医療現場に負荷をかけるべきではない」。来年4月スタートの毎年改定に待ったをかけ、改定に必要な薬価調査の見送りについて骨太に明記するよう求めた。他の議員数人も同調する意見を表明した。

 浜谷浩樹・厚労省保険局長は、毎年改定が官房長官や厚労相の合意により決定された経緯を「重い」と前置きしたうえで、「実態把握のための調査をさせていただきたい」と「原則論」を貫いた。

 議論の焦点となった毎年改定とは何か。薬価は患者が公的医療保険を使って医薬品を医療機関や薬局から購入する際の値段で、厚労相が決めている「公定価格」だ。ただし、卸売り段階の取引価格は市場競争の原理が働く。医療機関と薬局はこの薬価より安く薬の卸会社から仕入れることで、差額は「薬価差益」という収入になる。薬は、販売開始から時間が経過するにつれて仕入れ値が下がっていく傾向にあるからだ。

 これまで厚労省は2年に1度、保険適用の対象となる全医薬品の仕入れ値を調査(薬価調査)して公定価格との差を是正し、差益を圧縮してきた。2017年の薬価調査では、仕入れ値全体で9%、血圧降下剤では13%も薬価より安かった。

 この改定を毎年行うことは、業界に入る差益が今まで以上に少なくなる一方、税や保険料などを通じて公的医療保険を支える国民や財政の負担が減る効果がある。直近の改定は20年4月に行われた…

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