母からもらった腎臓~生体間移植を体験して~

障害者になって見えたこと<連載11回目>

倉岡 一樹・東京地方部記者
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私の障害者手帳。川崎市にもらった「ふれあいフリーパス」もこのケースの中にしまっている
私の障害者手帳。川崎市にもらった「ふれあいフリーパス」もこのケースの中にしまっている

 私は、赤いケースに入った写真付きの手帳を、いつも持っている。「身体障害者手帳」だ。記者の端くれとして、障害は理解している「つもり」だったが、浅はかだった。とりわけ、私がそうである「内部障害」については。反省も込めて今回は連載の番外として、以前の私には見えなかった風景を描いてみる。

         ◇

 当初、交付されたのは「じん臓機能障害3級」の手帳。外見からは分かりにくい内部障害の一つだ。

 内部障害は、心臓と呼吸器、腎臓、ぼうこう・直腸機能、小腸機能、免疫機能(ヒト免疫不全ウイルスによる)、肝臓--のいずれかに障害がある場合を指す。厚生労働省の調査によると、その総数(身障者手帳所有)は124万1000人で、身体障害者全体(428万7000人)の約3割を占める。100万人を超えているとは、想像もしなかった(いずれも推計値)。

 該当することも知らなかった私に取得を勧めてくれたのは、日本医大武蔵小杉病院(川崎市中原区)の担当医・大塚裕介医師だった。2019年2月22日の診察で「3級の条件を満たしました。移植する上で必要になりますから」と教えられた。なぜ必要かは、後述する。

 申請先は居住地の役所で、私の場合は川崎市内の区役所。窓口は「高齢・障害課」だった。面倒な手続きを想像したが、担当者の説明に安堵(あんど)した。

 「お医者さんから診断書と意見書をもらってきてください。それに、はんこと証明写真、マイナンバーを確認できる書類を持ってきていただければ」

 主治医の診断書と意見書は約1週間でもらえた。「腎機能が廃絶しつつある」との意見に落ち込んだが、それが現実だ。再び区役所に出向き、申請書とともに提出。市の更生相談所による書類審査を経て、交付まで約1カ月だった。

 後日、川崎市内の路線バスに原則無料で乗れる、市の「ふれあいフリーパス」ももらった。が、…

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倉岡 一樹

東京地方部記者

1977年生まれ。早稲田大卒。2003年、毎日新聞社に入社。佐世保支局を振り出しに、福岡報道部、同運動グループ、川崎支局、東京運動部、中部本社スポーツグループなどを経て、19年4月から東京地方部。スポーツの取材歴(特にアマチュア野球)が長い。中学生の一人娘が生まれた時、初めての上司(佐世保支局長)からかけてもらった言葉「子どもは生きているだけでいいんだよ」を心の支えにしている。