実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 社会の要請に応えてPCR検査増を

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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PCR検査機器と検体を入れる容器=大阪市淀川区の市立十三市民病院で2020年6月2日、久保玲撮影
PCR検査機器と検体を入れる容器=大阪市淀川区の市立十三市民病院で2020年6月2日、久保玲撮影

 新型コロナのような未曽有の感染症が流行したときには強いリーダーシップが不可欠となります。よって、少々現実にそぐわないことがあったとしても「原則としてリーダーに従うべきだ」と当初の私は考えていました。しかし、PCRの検査数については「黙っていられない」と思い直すようになり、一貫して「検査数を増やすべきだ」と主張し続けています(参考:「新型コロナ 『無症状の人にも検査を』」)。その後は行政も検査数を増やす方針となりましたが、実際の検査数は今も伸び悩んでいます。

 なぜでしょうか。保健所の職員がやる気がないからでも、検査会社が消極的なわけでもありません。最大の原因は「医師が消極的だからだ」と私は考えています。医師からの積極的な要望が出てこないのです。もっと言えば、「検査を広げるべきではない」とする考えが医師の間では今も主流を占めています。

 もっとも、多くの医師が検査を広げることに懸念を示す理由はあります。その最大の理由が「新型コロナのPCRの精度はさほど高くない」というものです。

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト