“子ども食堂”の時代―親と子のSOS―

虐待から子どもを救える社会に

可知悠子・北里大学講師
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 小さな子どもが1人で家に残され、命を落とす事件が6、7月に相次ぎました。東京都大田区の自宅に3歳の女児を置いて出かけ衰弱死させたとして母親が逮捕された事件は、激しい非難の的となりましたが、3歳児健診に来なかったことが把握されていただけに、母子保健や児童福祉のありかたも問われています。医療プレミアで「“子ども食堂”の時代―親と子のSOS―」を連載している可知悠子さんは、かつてあった同様の事件と前後して、保育所や幼稚園に通っていない親子を調査し「保育園に通えない子どもたち」(ちくま新書)をまとめています。困難を抱えた家庭で子どもを死なせない社会にするにはどうしたらよいのか聞きました。【医療プレミア編集部】

――今回の事件についてどこに注目しますか。

 ■3歳の女の子が8日間も一人ぼっちで、どんなに寂しかっただろう、つらかっただろうと心が痛みます。母子は2019年12月の3歳児健診とその予備日にも姿を見せませんでした。乳幼児健診に来ない家庭は虐待のリスクが高いことが知られています。区が今回の虐待に気づき、早期に対応するチャンスだったのですが、そのチャンスを生かせていたかどうかに注目しています。

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可知悠子

北里大学講師

かち・ゆうこ 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。2006年から10年間、臨床心理士として子どもや女性のカウンセリングにあたる。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座助教、日本医科大学衛生学公衆衛生学教室助教を経て、18年4月から北里大学医学部公衆衛生学単位講師。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室客員研究員、国立成育医療研究センター社会医学研究部共同研究員、首都大学東京客員准教授。共著に「子どもの貧困と食格差~お腹いっぱい食べさせたい」(大月書店)。自身も3歳児の子育て中。労働者とその子どもの健康の社会格差をテーマに研究を行っている。