実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 予防努力の「副作用」を防ぐ方法

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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 新型コロナウイルスに感染すると、重症化する恐れがありますし、無事に回復した後も倦怠(けんたい)感や微熱など、さまざまな後遺症に悩まされることがあります。私はこれを「ポストコロナ症候群」と名付けています(参照:「新型コロナ 回復後も続くだるさや息切れ」)。そして、新型コロナがやっかいなのは「感染中」と「感染後」だけではありません。感染前に予防の努力をしている間にも、その努力の「副作用」でさまざまな症状に苦しめられることがあります。今回はそれらについて解説し、対処法を紹介します。

 私は新型コロナへの感染を防ごうとする中で起こりうる「症状・病態」を次のように三つに分類しています。

 #1 自粛による生活の乱れや運動不足からくる肥満や生活習慣病の悪化

 #2 自粛によるストレスが原因の不眠、不安感、抑うつ感など。高齢者は認知症のリスク上昇。ドメスティックバイオレンスを典型とする同居人や家族間関係に起因する問題。

 #3 消毒液の使い過ぎで起こる手荒れ、マスクに起因する湿疹やニキビといった皮膚症状

 #1、#2、#3とも、場合によっては深刻な事態となります。

 #1は心筋梗塞(こうそく)や脳卒中といった心血管系疾患の発症をもたらし、寝たきりや死亡のリスク増大につながります。

 #2は最悪、自殺につながるおそれがあります。すでに新型コロナがリーマン・ショック以上の不況をもたらす可能性が指摘され、当時よりも自殺者が増えるのではないかという声もあります。ドメスティックバイオレンスはなかなか表に出てこないこ…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト