医療プレミア特集

新型コロナ 日本はなぜ死者が少ないか

医療プレミア編集部
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 なぜ日本は、新型コロナウイルス感染症で欧米より重症者や死亡者の数が少なくて済んでいるのか。その謎を解く鍵として、国際医療福祉大学大学院の高橋泰教授(医療情報学)は「大半の日本人はもともとの免疫の働きで、症状が出ないままウイルスを排除している」との説を提唱している。「特に現役世代では重症化するリスクは高くなく、経済活動を止めることによるデメリットの方が大きい」と主張している。【くらし医療部・熊谷豪】

Q:新型コロナは、どのように感染が広がっていると考えていますか。

A:このウイルスの特性を考えるには、ウイルスが体内に入り込む「暴露」▽ウイルスが更に細胞に入り込み増殖する「感染」▽発熱などの症状が出る「発症」▽ウイルスを排出する「伝染」の四つの段階を区別する必要があります。

 国内ではすでに、かなり多くの人が暴露していると考えられます。この段階では、ウイルスの数が非常に少ないので、PCR検査(遺伝子検査)は通常、陰性になることがほとんどと思われます。ウイルスが細胞内で増殖する感染状態になっても、もともと持っている白血球などがウイルスを排除します(自然免疫や細胞性免疫等)。大半の人は発症しない、または軽い風邪症状と考えます。わずかな割合の人だけがこの免疫では抑えられずに発症し、ウイルスを除去する抗体ができます(獲得免疫)。この過程では、高熱や強い倦怠(けんたい)感などの症状が出ます。つまり、ウイルスにさらされても、重い症状が出る人はわずかなのです。

 確かにこれは仮説です。しかし、ウイルス自体は欧米と同様に国内に広がっていると考えるのが自然なのに、抗体を持っている人が東京都でもわずか0.1%(厚生労働省調査)であること、無症状の感染者が次々に見つかっていること、PCR陽性者が増えても重症者や死亡者が…

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