健康を決めるチカラ

新型コロナ 意思決定の手助けに

中山 和弘・聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授
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 先月、米国老年医学会が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)の中で、人と交流したり家の外での活動に参加したりするかどうかを決める「意思決定ガイド」(英語でディシジョンエイド=decision aid)を開発したという記事を見つけました。

 意思決定ガイドとは、目の前に複数の選択肢があって、どれを選んだらよいか難しい意思決定を支援してくれるツールです。海外では治療、検査、ケアなどを選ぶための意思決定ガイドがたくさん作られていて、それを用いると情報を十分理解して自分の価値観に合った意思決定ができることが検証されてきています。新型コロナで人々が直面している意思決定を支援するガイドが、すぐに利用できることは貴重なことだと思います。

 新型コロナでは、年齢や基礎疾患などで重症化のリスクが異なることもあり、特に自分が当てはまると思う人は、これまで通り気軽に出かけるわけにはいかないでしょう。地域によって感染が拡大したり外出自粛が要請されたりすることもありますし、研究で新しい発見があって推奨される行動が変わることもあります。時間の経過によって情報に変化があると、友人や家族を訪問するか、公共の場での活動に参加するかを考える上では、混乱や不安を感じても無理はありません。

 開発された意思決定ガイドは、インターネット上でPDFファイルの形で提供されていて、質問に順に回答していけば、どう行動するか考えられるようになっています。ただし、これを使う前には、マスクをつけず、距離を保っていないと、ウイルスに感染したり、他の人に感染させた…

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中山 和弘

聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授

1985年に東京大医学部保健学科を卒業し、90年に同大大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、愛知県立看護大助教授などを経て、2004年から聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授。適切な情報に基づく意思決定や行動をケアする看護情報学、保健医療社会学が専門。ヘルスリテラシー、意思決定支援、ヘルスコミュニケーションやそのサポートネットワークなどについて研究している。ウェブサイト「健康を決める力」(http://www.healthliteracy.jp/)を運営。