現代フランス健康事情

フランスでは難しい「社会的距離」

竹内真里・パリ在住ライター
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マスクはしているが、前後左右の間隔はほとんど取られておらず、かなり「密」な観光スポットの行列=筆者撮影
マスクはしているが、前後左右の間隔はほとんど取られておらず、かなり「密」な観光スポットの行列=筆者撮影

 フランス人が大好きな夏が終わった。例年だったら「バカンスはどうだった?」とお土産話に花が咲くのだが、今年はちょっと違った。バカンスの話はほどほどに、「みんな元気だった? ご家族は?」とお互いの健康を気遣う会話が聞かれる。

 日本のような式典行事はないけれど、フランスでは、9月は始業の月。通学、通勤が始まった。長くテレワークをしていたオフィスワーカーらも、出社して仕事をする人が増えている。子どもたちも友達に会えてうれしそうだが、早くも休校になった学校もある。

 8月中旬ごろから新型コロナウイルスの感染者数の増加が目立ち始めた。この原稿を書いている9月9日は前日プラス8577人となっている。パリが本拠地のプロサッカーチーム「パリ・サンジェルマン」所属のムバッペ選手やネイマール選手らも「陽性」との発表があった。とはいえ、現地の人は感染者数の増加やクラスターの数に一喜一憂している様子はない。屋外でのマスク着用を義務化する自治体も増えたため、ほとんどの人が形式的には守っているし、消毒液も使っている。どれぐらいきっちりしているかは別として、こちらの人にしてはよくやっているほうではないか。

 「マスクが義務になってからしばらくは習慣になっていなくて、忘れることが多かったです。途中で取りに帰るのも面倒なので、今はいろんなところに数枚マスクを入れています」と言うマリーヌさん。指さした先のベビーカーの下かごには、他の荷物にまぎれて布マスクがそのままポンと入っていた。

 フランスの人も消毒液でゴシゴシ手洗いはよくやっている。でも、こちらの人がなかなかできないことがソ…

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竹内真里

パリ在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はパリ市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。