口から守る! あなたの健康

不思議な唾液の力

医療プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷
 
 

 唾液といえば、汚いというイメージが強いですが、実は唾液の中には100種類以上の有効成分が含まれ、さまざまな体に良い作用をしています。唾液にはウイルスが含まれることもありますが、一方でウイルスを撃退する物質も含まれています。また唾液は、1日に1~1.5ℓもの量が分泌されます。口の中を洗い流す作用も感染防止に重要です。

 マスクを着用して、ふと気づくと臭いを感じることはないでしょうか。実は、その臭いは唾液の臭いです。唾液が、自浄作用により口の中を洗い流すことで、細菌の定着を防いでくれています。しかし、暑い夏にマスクをしていると、喉の渇きを感じにくくなり、脱水になりやすくなります。このため、唾液量が少なくなり、細菌が繁殖しやすくなっているのです。さらに、マスクは、非常にうっとうしいですよね。外したいけど外せない葛藤にさらされています。このストレスも唾液量の減少に関与している可能性があります。臭いを感じたら、唾液の観点から、十分な水分の摂取と、ソーシャルディスタンスを保ってマスクを外し、深呼吸してみましょう!

 唾液中に含まれる有効成分のうちで、脳に関連する物質があります。それは、脳由来神経栄養因子「BDNF」という神経細胞の機能のとても大切な物質です。不思議なことに、このBDNFは、唾液腺で作られ唾液中に存在します。ふだん、唾液は飲み込まれて終わりですが、唾液中の有効成分のいくつかは、舌の下の粘膜から再吸収され全身に流れていきます。特に口に近い脳には量的にも多めに流れていきます。唾液中のBDNFも脳に移行することが知られており、脳の神経細胞をストレスから強くする働きが確認されています。

 唾液中には、IgA…

この記事は有料記事です。

残り1510文字(全文2220文字)

医療プレミア編集部

毎日新聞医療プレミア編集部は、国内外の医師、研究者、ジャーナリストとのネットワークを生かし、日々の生活に役立ち、知的好奇心を刺激する医療・健康情報をお届けします。