人生の筋トレ術

中高年男性に忍び寄る“足梗塞”とは

西川敦子・フリーライター
  • 文字
  • 印刷
 
 

 新人の営業訪問に同行することになったタカヒロさん。向かった先はかつて担当だった得意先だ。駅から少々離れた高台にあるが、歩いて行くことにした。「今はオンライン営業ができるからいいよな。オレが若い頃は、分厚い資料を抱えてよく歩き回ったもんだ。おかげで脚は鍛えられたけどね」。神妙にうなずいている新人を尻目に坂を上り始めたとたん、締めつけられるような痛みをふくらはぎに感じて立ち止まった。「ちょ、ちょっと待ってくれ。タクシーを拾おう」。やはり年には勝てない、とタカヒロさんは肩を落とした。若い頃は文字通り足で稼いでいたオレが……。伝説の営業マンと呼ばれたこのオレが……。

 脳梗塞(こうそく)、心筋梗塞とともに、「3大梗塞」のひとつとよばれる下肢閉塞性(へいそくせい)動脈硬化症。簡単にいえば“足梗塞”(動脈硬化)だ。脳梗塞、心筋梗塞との合併リスクが高く、 けっして見過ごせない疾患である。

 東京都世田谷区の下北沢病院(足病総合センター・糖尿病センター)副院長、長崎和仁氏は次のように説明する。

 「脳梗塞や心筋梗塞は、発作が起きると倒れたりすることもあり、一般に“怖い病気”ととらえられています。一方、“足梗塞”は知らないうちに進行し、救急搬送されることもあまりない。しかし、だからこそ恐れるべき疾患といえるのです」

 “足梗塞”が起こるメカニズムは…

この記事は有料記事です。

残り3019文字(全文3590文字)

西川敦子

フリーライター

にしかわ・あつこ 1967年生まれ。鎌倉市出身。上智大学外国語学部卒業。釣り関連の編集プロダクション勤務、温泉仲居を経て、2001年から執筆活動。経済誌、新聞、人事関連雑誌などで、メンタルヘルスや家族問題、働き方をテーマに取材を続ける。著書に「ワーキングうつ」(ダイヤモンド社)など。