百寿者に学ぶ バランス健康術!

コロナ患者に多い血栓症の仕組みは?

米井嘉一・同志社大学教授
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 糖尿病があると新型コロナウイルス感染症である肺炎にかかりやすい、コロナ肺炎が重症化しやすいと言われています。今回は血栓症を合併しやすい原因についてお話しします。

 糖尿病は万病のもとと言われ、さまざまな合併症を起こします。その中で日本人の主な死因(がん、虚血性心疾患、脳卒中)と深く関係しているのが、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)といった動脈硬化が引き金になる病気です。これらは「脳心血管イベント」とも呼ばれ、糖尿病はその発症リスクになっています。糖尿病の評価の指標には、空腹時の血糖、ヘモグロビンとブドウ糖が結びついた「HbA1c」、食後高血糖(血糖スパイク)が用いられますが、それぞれの項目と脳心血管イベントの発症との関連を調べてみると、もっともリスクが高いのが血糖スパイク。次いでHbA1c、空腹時血糖の順になっています。血糖スパイクはあなどれませんね。自分は糖尿病でないと安心している人でも、もしかすると血糖スパイクがあるかもしれないので、決して油断をしないでください。

 血中の糖や脂肪、有害物質であるアルデヒドの値が高い状態である「糖化ストレス」が強いと新型コロナ感染症で血栓症を起こしやすくなる理由は、血糖スパイクにあります。血糖スパイクについては「認知症、がんのリスクを上げる『糖化ストレス』とは」をご参照ください。

 1980年代の私の研究テーマは「消化管粘膜の微小循環障害」でした。胃や腸の表面の血管を血液が流れる様子を顕微鏡で観察する研究を行ってきました。血管壁に傷ができると、1分もたたないうちに、血栓ができます。血管の内側にあたる内皮の障害から血栓形成に至る過程を図に示します。

 糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満と…

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米井嘉一

同志社大学教授

よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。