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新型コロナ 来年の東京五輪は開けるか

濱田篤郎・東京医科大学特任教授
お台場海浜公園から一時的に撤去される五輪マークのモニュメント=東京湾のお台場沖で2020年8月6日午前9時49分、本社ヘリから
お台場海浜公園から一時的に撤去される五輪マークのモニュメント=東京湾のお台場沖で2020年8月6日午前9時49分、本社ヘリから

 新型コロナウイルスの流行が続く中、来年の東京オリンピック・パラリンピック開催に関する議論が高まっています。9月9日に行われた国際オリンピック委員会の理事会では、バッハ会長が「東京五輪は安全な環境下でのみ開催する」というメッセージを発しました。筆者は4月の本コラム(新型コロナ 「五輪延期」に残る医学的課題)で、安全な環境で五輪を開催するには、新型コロナのワクチンが開発され、それによって流行が終息していることが必要条件だと述べました。あれから5カ月がたちますが、ワクチンの開発はどこまで進んでいるのでしょうか。最近は、流行期間中でも大会を強行するための「バブル」という方法も注目されています。今回のコラムでは、ワクチン開発の現状を紹介するとともに、来年の五輪開催の可能性をあらためて検討してみます。

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東京医科大学特任教授

はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。