医療プレミア特集

新型コロナ「治療手順確立が奏功」 忽那医師に聞く

医療プレミア編集部
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インタビューに応じる忽那賢志医師=東京都新宿区の国立国際医療研究センターで2020年9月14日、谷本仁美撮影
インタビューに応じる忽那賢志医師=東京都新宿区の国立国際医療研究センターで2020年9月14日、谷本仁美撮影

 新型コロナウイルス感染症の患者が国内で確認されてから8カ月が経過した。国内では3、4月に「第1波」の流行を経験し、6月以降に流行が再燃。「第2波」はピークを過ぎたとみられるが、依然、油断できない状態が続いている。一方、第2波では死者数が第1波に比べて少なく、確認された感染者数に対する死者数の割合(致命率、致死率)は低下した。致命率の低下を臨床現場の医師はどうみるのか。多くの新型コロナウイルス感染症患者の治療にあたってきた国立国際医療研究センター(NCGM)の忽那賢志医師にその要因について聞いた。【聞き手 くらし医療部・金秀蓮、谷本仁美】

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 ――国立感染症研究所の鈴木基・感染症疫学センター長が9月2日、厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード(AB)」に提出した資料によると、8月30日時点の推定調整致命率は5月31日時点までの1カ月が全年齢で7.2%、70歳以上で25.5%。8月30日時点までの1カ月が全年齢で0.9%、70歳以上で8.1%だった。1月16日からの全期間の累積では、5月31日時点までが全年齢で5.8%、8月30日時点までが2.4%だった。

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Q:鈴木感染症疫学センター長が致命率の推定データを出しました。第2波での致命率の低下は臨床現場でも実感していますか。

A:そうですね。実は第2波では、国立国際医療研究センター病院で亡くなった方は今のところいません。実感として、重症化する方は減っているなと思っています。

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 --厚労省ABは致命率低下について、次のような要因をあげた。

・検査体制の拡充などサーベイランス(調査)感度が高まり、より多くの感染者が確認できるようになった

・若い世代が占める割合が高くなっている

・第1波に比べ院内感染や施設内感染の占める割合が低く、高齢者でも比較的健康な高齢者が含まれると考えられる

・標準的な治療法に基づく対応が進んでいると考えられる

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Q:ABでも致命率低下の要因として考えられることが示されましたが、先生はどのようにお考えですか。

A:やはり第1波と第2波を比べると、第2波の方が断然、検査能力が向上しています。東京だけを見ても、入院が必要な症例に限って検査をするなど、第1波の時には検査を制限していましたよね。第2波は検査対象を拡大し、発症から4日間様子を見るという目安もなくなりました。基礎疾患がない若い人でも、濃厚接触歴があったり、疑わしい症状があったりすれば検査をするようになりました。第1波の時は氷山の本当に一角で、重症になりそうな人や重症者を中心に検査して診断していたので、重症度は全体として高く致命率も高かった。第2波は軽症の人たちも診断されているので相対的に致命率は低いのだと思います。

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――国立国際医療研究センターのデータベースに登録された全国の約6100例の入院患者の症例(9月4日まで)によると、入院症例に対して、入院後に死亡する症例の割合は、基礎疾患など患者の背景事情が異なる可能性があるが、6月5日以前の入院症例と比べ、6月6日以降の入院症例の方がいずれの年代でも低くなっている。

 70歳以上では、入院時重症だった患者の死亡割合は6月5日以前が31.2%だったのに対し、6月6日以降は20.8%だった。

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Q:一方で、国立国際医…

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