医療の本音

新型コロナ ナンセンスなルールは排して

松本尚・日本医科大学救急医学 教授
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 この夏、地方に帰省した人の家に、「皆の迷惑になるから、早く帰れ」なる趣旨の手紙が投げ込まれたそうです。ある大学の部活動でクラスター(感染者集団)が発生すると、この部と全く関係のない同じ大学に通う学生がアルバイトを拒否されることもありました。そう、新型コロナウイルス感染症の影響です。

 私が部長を務める救命救急センターはスタッフの結束力が強く、そのパフォーマンスは日本一であると自負しています。ところが今回、新型コロナウイルス感染患者の受け入れのための準備に際し、スタッフ間に摩擦が生じました。病棟内のレイアウトは感染対策を優先しなければならず、同時にスタッフが働きやすくする必要もあり、意見の衝突が起こったのです。立場上、私が行司役にならざるを得ず、幸いにも落としどころが見つけられましたが、この時険悪なムードの中で行司はこう言いました。「お前たち、このままだとコロナの思うつぼだぞ」

 もちろんウイルスが意思を持っているわけではありません。が、未知なるウイルス感染の恐ろしいところは…

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松本尚

日本医科大学救急医学 教授

まつもと・ひさし 1962年生まれ。1987年金沢大医学部卒業。金沢大医学部附属病院 救急部・集中治療部講師、日本医科大救急医学准教授などを経て2014年4月から現職。日本医科大学千葉北総病院救命救急センター長であり、印旛地域救急業務メディカルコントロール協議会会長などを務めている。専門は救急・外傷外科学、救急医学、災害医学、消化器外科学、経営管理学。