健康をつくる栄養学のキホン

「腸活」はダイエットに効く?

成田崇信・管理栄養士
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 便秘や腸の不調は万病の元。腸に良い食事や生活習慣を心がけることで、病気を予防し、健康的に痩せることもできるという「腸活」が話題になっているようです。腸活で勧められる生活習慣で便秘予防や減量効果は期待できるのでしょうか。本などで紹介されていた「効用」を評価してみます。

「腸活」でおすすめの生活習慣を検証すると…

・朝起きてすぐにコップ1杯の水を一気に飲む→水分不足は便秘の元であり、朝起きてすぐに飲むことで大腸が刺激され、蠕動(ぜんどう)運動を促す。

判定:△ 朝に水を飲むこと自体は体に良いと思います。しかし、一気に飲むことが良いという根拠は見当たりません。胃腸への負担を考えるとゆっくり飲む方が良さそうです。

・動物性たんぱく質や脂肪分の多い食事、グルテンは避ける→動物性たんぱく質や脂肪の多い食事は悪玉菌が好み、腸の蠕動運動を悪くするため。グルテンは、腸を傷つけ有害物質が体に侵入するきっかけになるため避けた方が良い。

判定:× 動物性たんぱく質や脂肪分ばかりではもちろんよくありませんが、その程度が問題です。また、腸内細菌は個人差が大きく、「この食品を食べると悪玉菌が増える」というような単純な話ではありません。動物性食品はたんぱく質や脂質だけでなく、鉄や各種ビタミンが効率良くとれる有用な食材です。また、グルテンが腸を傷つけアレルギーの元になるという話が出回っていますが、栄養学的な裏付けのない話です。特定の食物を悪者視する話には要注意です。

・食物繊維の多い食品をしっかり食べる→便量を増やし、便秘を改善する。腸内細菌のエサとなり短鎖脂肪酸や神経伝達物質を合成し痩せやすい体をつくる。

判定:△ 食物繊維には便量を増やす効果が期待されます。しかし、便秘の改善効果については個人差が大きく、食べても効果がない人も多いとされています。食物繊維であればどれでも良いというわけではありま…

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成田崇信

管理栄養士

なりた・たかのぶ 1975年東京生まれ。社会福祉法人で管理栄養士の仕事をするかたわら、主にブログ「とらねこ日誌」やSNSなどインターネット上で食と健康関連の情報を発信している。栄養学の妥当な知識に基づく食育書「新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK」(内外出版社)を執筆。共著に「各分野の専門家が伝える子どもを守るために知っておきたいこと」(メタモル出版)、監修として「子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ」(オレンジページ)などに携わっている。