
2017年時点のデータでは、男性が一生涯に何らかのがんになる確率は65.5%、女性は50.2%です。今や、日本人男性の3人に2人が、がんになる時代と言えます。しかし、日本人のがんについての知識はお粗末で、「迷信」がはびこっています。
遺伝性のがんは5%程度
「うちはがん家系だから心配」などと言う人がいますが、遺伝性のがんは全体の5%程度と例外的です。
また、昔から、焼き魚などの「焦げ」を心配される方も多いようで、内閣府が09年に公表した「がん対策に関する世論調査」でも、がんを予防するために日本人が実践している生活上の注意点のトップは「焦げた部分は避ける」(43.4%)で、「たばこは吸わない」の42.7%を上回っています。しかし、焦げだけを毎日トン単位で食べ続けないかぎりは、がんが増えることはまずありませんから、あまり気にする必要はありません。
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東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授
1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。
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