日本国内で製造販売の承認を受けた「がん光免疫療法」を開発した米ベンチャー「楽天メディカル」の三木谷浩史会長や、この治療法を開発した小林久隆・米国立衛生研究所(NIH)主任研究員らが29日、東京都内で記者会見を開き、国内での治療開始に向けた準備状況などについて説明した。三木谷会長は「私の父が膵臓(すいぞう)がんを患い、新しい治療法を探している中で革新的な研究に出合った。父の治療には間に合わなかったが、がんに苦しむ人たちのために承認を得られたのは大きな節目だ」と話した。【オピニオングループ・永山悦子】
狙いを定めて光でがんを攻撃
光免疫療法は、がん細胞に特異的に結びつく薬剤とレーザー光を使う治療法。薬剤を患者に投与し、その後、がんにレーザー装置で暗赤色光を当てると、薬剤が起こす化学反応によってがん細胞だけが壊される。薬剤は正常な細胞に結びつきにくく、また光が当たらない場所では反応が起きないため、ピンポイントでがんを攻撃でき、副作用が少ないと期待されている。
今月25日に承認されたのは、手術ができない進行頭頸(とうけい)部がんか、再発頭頸部がんの患者が対象となる薬とレーザー装置。薬剤は「希望を照らす明かり」の意味の「アキャ(明かり)」と、光の照度の単位である「ルクス」から「アキャルックス」と名付けられた。
三木谷さんは「25年前、誰もインターネットショッピングなど…
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