実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

時に凶悪な肺炎球菌 ワクチンのススメ

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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 患者さんが混乱していることが多く、それを説明するのに労力を使うことになるワクチンの一つが肺炎球菌ワクチンです。ワクチンシリーズではこれまで多くのワクチンを紹介してきましたが、今回取り上げる肺炎球菌ワクチンほど、接種のための制度が複雑なものは他に見当たりません。それでもこれは、乳幼児や高齢者のみならず成人で免疫が低下している方にもお勧めしたい大切なワクチンです。

 なぜ、そんなにも複雑なのか。その最たる理由は「ワクチンが2種類ある」ことなのですが、それだけではなく「年齢によって片方しか打てない」「公費負担がある場合とない場合がある」「その公費負担の適用基準が複雑」「追加接種のルールが複雑」「どちらかを選べと言われても何を根拠に決めるべきか分からない」「一部は保険診療で接種できる」など、事情が入り組んでいます。2020年5月29日、2種類の一つである「PCV…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト