現代フランス健康事情

新型コロナ 「最大警戒地域」になったパリ

竹内真里・パリ在住ライター
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久々に晴れ間がのぞいた午後。いつもならにぎやかなカフェのテラス席だが、お客の入りはまばらだった=筆者撮影
久々に晴れ間がのぞいた午後。いつもならにぎやかなカフェのテラス席だが、お客の入りはまばらだった=筆者撮影

 フランスでは、夏は雨がほとんど降らず、乾燥してひどい干ばつに悩まされていたのに、このところ雨が続き、各地で洪水のひどい被害が出ている。イタリアに近い南東部のアルプマリティーム県では、家や橋が流され、死者も出た。パリ市内の殺傷事件や、警察や消防士らと市民の間のいさかいなど、日常的に発生する問題も目立ち、なかなか明るいニュースが聞こえてこない。

 そんな中、ファッションデザイナーの高田賢三さんが10月4日夜に新型コロナウイルス感染症で亡くなったニュースは、現地の新聞でも大きく取り上げられた。81歳だった。パリ市のアンヌ・イダルゴ市長もツイッターで追悼のメッセージを残している。私のまわりで高級ブランド「KENZO」の服を持っている人はいないけれど、香水を愛用している友人が言った。「彼のように世界的に活躍した人にも死はやってくる。残念だね。いつかなんらかの形で死ぬんだから、今を生きなくちゃね」。「つらいことがあっても人生は続く」「今を生きる」「人生を楽しもう」。フランス人がよく言う言葉だ。

 夏の間、ニュース番組では各地の美しい村やバカンス先の紹介などが流れていたが、このごろは再び病院内の映像が流れるようになってきた。新型コロナは決して過去の存在ではない。家族や友人の学校や職場でも感染者が出ていて、隣人の高齢のお母様も、入居先の施設で亡くなった。子どもが通う小学校の教師ら数人も、「新型コロナの疑い」で休んでいる。代理の講師の調整ができない時は他のクラスに割りふられ、勉強は続けられている。

 多くの人が予想していたように、5日、感染拡大が著しいパリと近郊の県の警戒レベルが引き上げられ、最大警戒地域となった。15日間継続される措置は大まかに言って、1000人以上の集会の禁止▽公道や公園での10人以上の集会は禁止▽デモ活動は容認▽飲食業では、カフェやレストランは営業継続、バーは閉鎖▽冠婚葬祭は行うことができるがパーティーは禁止▽ダンスホールは閉鎖▽見本市なども禁止▽図書館、映画館などの文化施設は開館継続▽ジム、プールは閉鎖▽高齢者施設の訪問は予約制で2人まで▽団体での…

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竹内真里

パリ在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はパリ市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。